1月27日(水)に開催された特別公開授業では、愛知ペット専門学校に「災害救助犬」が来校。ハンドラ―の「高木様」と「岡様」も来校され特別公開授業の学生たちの集中力は普段以上!?でした。終了後は、たくさんの質問をさせて頂きました。その職についたキッカケや経緯などをはじめ様々な質問が出た中で「一人前のハンドラ―になるまでどのくらいの期間がかかりますか?」という質問がありました。その質問に対し「現場は一つではないので一生勉強ですね。一つとして同じ状況の現場はありませんから。犬にしても、実際の現場は、訓練施設とは比べ物にならない過酷な状況がほとんどなので。皆さんもよく分かると思いますが、知識と違って技術を身に付けるには、時間もかかりますよね。自分的には、技術を習得する者にはこれで1人前だというゴールはないと思っています。経験を踏んだ数だけ、自分の財産として蓄積されていきますから。で
すから、髙木に関しても、新人の頃からとにかく現場に出しています。
以下は、学生たちのインタビューにそってリポートします。
学生:本日は私たちの為にお時間を取って頂きありがとうございました。貴重なお話が聞けてとても良い勉強になりました。
岡 :とんでもない。真剣なみなさんの様子にふれて、私たちも刺激になりました(笑)
学生:何点かお聞きしたいことがあるのですが?
岡 :何でも聞いてください!
学生:では、改めてお二人のお名前・年齢・経歴・ご趣味などについて教えて下さい。
岡 :趣味ですか。困ったなあ。名前は岡 武と言います。39歳で3児のパパです。
2001年に大学を卒業し、テレビで見たレスキュー犬を見て、すぐに日本レスキュー協会の門をたたき今に至ります。東日本大震災はもちろん、パキスタン・インドネシア・ネパールなどの現場にも行きましたね。趣味は一応、読書と映画鑑賞にしておきます(笑)
髙木:私は、髙木 美佑希と言います。年齢は24歳です。大学時代はテニスや水泳をやっていました。
学生:お二人が担当されているわんちゃんの事も教えていただけますか?
岡 :私は4頭を担当しています。まずは、ジャーマンシェパードのサラ。欲求が強く、制御不能になることもあります(笑)。ラブラドールのホープは、万能タイプですね。
あと、ブリタニースパニエルのラフィー。非常に体力があるので、捜索に出すと諦めることなく探索を続ける子ですね。最後にジャーマンシェパードのグリュックです。テンションが超高い子ですが、得意技はフセです(笑)
髙木:私は、ラブラドールのジェイとジャーマンシェパードのコスモスが担当です。ジェイは可も無く不可も無い、苦手の少ない子ですね。コスモスはグリュックの兄弟で、性格はおっとりですね。
学生:救助犬のハンドラーになろうと思ったきっかけを教えて下さい。
岡 :もともと犬は好きでしたが、救助犬のイメージとしては、首から樽を下げたセントバーナードのイメージしか無かったですね。大学の時にテレビで見た、海外で活躍するレスキュー犬を見て、俺の目指す道はこれだと思いました。在学中から色々調べまくって、卒業と同時に協会に押しかけました(笑)
髙木:私は、東日本大震災がきっかけですね。ニュースを見て、初めてレスキュー犬の存在を知りました。犬の知識など全く無かったのですが、岡さんと同じように気が付いたら門を叩いていた感じです。
学生:どんなときにやりがいを感じますか?
岡 :要救助者を発見した時と言いたいところですが、様々な困難をパートナーと乗り越えた時ですかね。訓練も含めてですが。犬にも人の喜びが伝わるので、お互いに心から喜べる瞬間が最高です。
学生:一人前のハンドラーさんになるにはどれくらい期間がかかるのでしょう?わんちゃんはどれくらいの訓練期間を経て、現場に配属になるのでしょうか?
岡 :そうですね。現場は一つではないので、一生勉強ですね。一つとして同じ状況の現場はありませんから。犬にしても、実際の現場は、訓練施設とは比べ物にならない過酷な状況がほとんどなので。皆さんもよく分かると思いますが、知識と違って技術を身に付けるには、時間もかかりますよね。自分的には、技術を習得する者にはこれで1人前だというゴールはないと思っています。経験を踏んだ数だけ、自分の財産として蓄積されていきますから。ですから、髙木に関しても、新人の頃からとにかく現場に出しています。
髙木;そうですね。右も左も分からないうちから現場には連れて行ってもらってました。ハンドラーに関しては、2年目ですがまだまだ半人前なのでどれくらいの期間が必要なのかはお答えしにくいですね。熟練のハンドラーになるには10年かかると、岡さんには言われてます。犬の訓練は、その子の素質にもよりますが、2年から3年ぐらいかかります。
学生:出動時の記憶に残るエピソードがあればお願いします。
岡 :活動を始めた当初は、警察・消防・自衛隊との連携がうまくいかず、苦労しました。
救助犬は基本的に生きた人間を探すように訓練されていますから、捜索には一旦全ての捜索要員を現場から遠ざけないといけません。現場で捜索活動をしているみなさんにも反応してしまいますから。それを理解してもらうのにとても苦労しましたね。そんな中で、捜索が打ち切られたエリアで、ご遺体を発見出来た時に、消防隊員の方に、「見つけてくれてありがとう。ご家族の方も喜んでいます。」と声を掛けて頂いた時には、涙が出ましたね。
実際の現場では、今話した事などがあり、生存者を発見出来る事は、ほとんど無いのが現状です。ただ、冷たい瓦礫の中で待っているご遺体を、家族の元に返してあげるのも、私たちにしか出来ない大事な仕事だと思っていますね。
学生:・・・・・・・。
髙木:私の場合は、全ての現場が記憶に残ってます。私は、失敗だらけですが(笑)みんな、そんなに深刻にならないで。
学生:大変なお仕事だということが良く分かりました。お二人のお話を聞いて、災害救助犬のハンドラーにすごく興味を持ったのですが、どうしたら災害救助犬のハンドラーになれるのですか?
岡 :一言で言えば、情熱とあつかましさですね(笑)
学生:え?
岡 :災害救助犬のハンドラーの公的な養成機関は無いんです。だから、本気でハンドラーを目指すなら、協会に押しかけて、自分をアピールするしかないですね。自分も髙木も断られても諦めずにアピールし続けた結果、今の自分がいます。
学生:分かりました!私たちは、まだ1年生なので、将来の事をしっかり考えたいと思います。押しかけるかも知れないので、私の顔を良く覚えておいて下さい!
岡 :わかりました(笑)。アピールお待ちしてます。
学生:今日は、貴重なお時間を頂いてありがとうございました。命の最前線で働くお二人のお話を聞いて、同じ犬に関わる勉強をしている生徒として、まだまだ頑張りがたりないなあと思いました。
岡 :いえいえ。メモを取りながら真剣にに講義を聴いている皆さんを見て、日本のペット業界もすてたもんじゃあ無いと、本気で思えましたよ。みんながんばって下さい。
学生:はい。がんばります。今後、災害が起きるたびに、画面の向こうで岡さんと髙木さんが活躍している事を思い出して、励みにしたいと思います。本当にありがとうございました。
岡 :こちらこそ、ありがとうございました。みなさんもペットのプロを目指してがんばって下さい。