ティーカッププードルとは
ティーカッププードルは、その名のとおりティーカップに入るほど小さくかわいい犬です。性格はトイプードルとほほ同じで元気で活発、とても賢い犬です。しかし、小さいがゆえに骨が細い、病気になりやすいなどの問題をかかえる子たちが多くいることを忘れてはいけません。
これは、そんなティーカッププードルサイズのシータと、動物看護科の学生たちが経験したお話です。
シータのDATA
犬種:トイプードル
(ティ-カッププードルサイズ)
愛称:シータ・性別♀
平成18年4月生まれ
平成19年12月
階段を一段踏み外したことで左前肢骨折
骨折から~平成25年10月
手術にてプレート内固定・プレート内固定からボルト固定に変更・ボルト部分が骨折し、プレート固定に戻すなどを繰り返す その後内服薬にて治療を継続し、再手術を行うなどするが好転せず寝たきりの状態となる。プレートが炎症を起こす→内服薬処方・プレートが皮膚から露出・プレート除去
平成25年11月
回復見込みなしと診断。獣医師より断脚が勧められる。
平成25年11月~平成26年11月
マッサージ、投薬治療等を継続。様々なことを実施するも良くならず
平成26年12月
断脚手術実施
平成27年1月
抜糸~現在 健康状態に異常なし
骨の再建手術やギプスで骨が接合することはなかった
骨折手術では骨を固定させる必要がある為、患部に専用の道具であるプレートを埋め込みます。しかし、シータの骨は極小サイズで生まれた犬の宿命としてとても細いものでした。その結果、プレートが合わず治療どころか炎症を引き起こしてしまいました。その為プレートを取り出し、ボルトやギプス等で固定することで骨を再生させるように治療を行ったのですが、完全に再生できていなかった細く脆弱な骨が再度骨折してしまったのです。骨の再建手術やギプスで骨が接合することはなかったのです。
断脚という選択
回復見込みなし、と複数の獣医師に診断されましたが、学生たちの「なんとか脚を残してあげたい」 という思いから、マッサージや、ギプス、投薬治療などの治療を続けることになりました。学生たちはシータの治療を継続して行い骨の再建を目指したのですが効果が出ませんでした。それどころか、シータ自身に痛みが出てきたり患部が膿んでしまったのです。こうしたことからこのままではより悪くなってしまう可能性が強くシータの体を守るため看護科学生と獣医師の相談の結果、最終的に断脚を選択することになりました。
術後
手術の結果、肢がなくなってしまい、学生たちはどうなるかと心配しましたが、シータ自身、肢の切断によって今までの痛みから解放されることとなり、手術前より元気になったのです。
現在
3脚歩行のため、シータには運動制限を行っています。また、風邪をひきやすい所もある為、余分な負担をかけないように早期発見早期治療を心がけた結果、現在の状態は骨折前より良い状態で元気に暮らしています。
飼い主様と一緒考え、手助けが出来る動物看護師を育てたい
今では、元気にキャンパス内駐車場まわりを動物看護科の生徒と一緒に、元気に3本足で走り回ったり、うとうと日向ぼっこをしている「シータ」ですが・・・。
シータはたまたま小さく生まれたとてもかわいいトイプードルです。でも体が小さい分、やはり骨が細いという問題点を抱えていました。最近の小型犬ブームからスタンダード(標準)よりも小さい固体を好む傾向があるとききます。
小さすぎる犬・・・そのような犬を飼うときの注意と、なってしまったときの飼い主としての心構えはとても重要に感じます。
皆さんのそばにいるわんちゃんは…猫ちゃんは…「唯一無二の命ある家族の一員」です。それぞれのご家庭により、さまざまなご事情があると思います。そうした事情を考慮し、飼い主様とペットがかけがえのない時間を健やかに幸せに一緒に過ごせるよう、飼い主様と一緒に考え、その手助けができる動物看護師を育てたいと願っています。